はじめに 猿田彦珈琲って一体何者?
猿田彦珈琲のフラグシップ店が調布にあると聞き、足を伸ばして行ってみました。焙煎機も置いてあり、まさに猿田彦珈琲の世界観が表現された場所のように感じます。
でも、そもそも猿田彦珈琲って何なのでしょうか?街中でローソンとのコラボ商品を見かけたり、スーパーでもコーヒー豆やリキッドボトルが売られていたりと、いったい何者なのか気になっていました。

猿田彦珈琲の由来と神社との関係
せっかくなので、猿田彦珈琲の由来について調べてみました。調査してみると、なんとも興味深いストーリーがありました。
創業者の大塚朝之氏は元俳優で、店舗のロゴデザインを依頼したデザイナーの方から店名も提案されたようです。当初は猿田彦神社との直接的な関係はなかったとのこと。
大塚氏自身は別の店名を考えていたそうですが、最終的に「猿田彦」という名前に決まったそうです。
そしてここからが面白いのですが、お店を営業していると、ある時伊勢神宮の近くにある猿田彦神社の関係者の方がお店を訪ねてこられ、コラボレーションの提案があったとのこと。それがきっかけで現在では猿田彦神社公認となり、「みちひらきブレンド」などの商品展開や、神社での婚礼用品としても使われるなど、深いつながりが生まれているようです。
調布焙煎ホールへのアクセスと第一印象
場所は東京都調布市、京王線の調布駅から歩いて5分ほどの「トリエ京王調布C館」の1階にありました。商業施設の奥に進んでいくと、焙煎豆の香ばしい香りがただよってきます。これだけで期待が高まりますね。

店の前には暖簾もかかっており、見てみると「ジャパンバリスタチャンピオンシップ2024」で優勝・準優勝した情報が掲示されていました。伊藤大貴さんが優勝、安部潤さんが準優勝を獲得されたとのこと。
ジャパンバリスタチャンピオンシップとは
ジャパンバリスタチャンピオンシップ(JBC)は、日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が主催するコーヒーの競技会で、国内TOPバリスタを決める大きな大会です。競技では「エスプレッソ」「ミルクビバレッジ」「シグネチャービバレッジ」という3種類のドリンクを決められた時間内で提供し、味覚評価だけでなく、その過程も含めて評価されます。
優勝者は翌年の世界大会「World Barista Championship(WBC)」へ日本代表として参加することになります。猿田彦珈琲が1位・2位を独占したのは本当にすごいことなんですね。
店内の雰囲気とメニュー構成
店に入ると注文まで少し列ができていました。待っている間に周りを見渡してみると、物販コーナーやフード、デザート類(ケーキ、ジェラート)も充実しています。コーヒー以外にも力を入れているのがよく分かります。




順番が来てメニューを見てみると、デカフェを発見!デカフェへのアンテナが高い私は迷わずデカフェをチョイスしました。
ブラックコーヒーのメニュー構成
メニュー構成を見てみると:
ブレンド
- 大吉ブレンド(深煎り)
- お月見ブレンド(中深煎り)
シングルオリジン
- パナマゲイシャ(浅煎り・2,100円)
- コスタリカ(浅煎り・750円)
そして今回選んだデカフェ(エチオピア・深煎り)

デカフェエチオピアの深煎り その味わいに驚き
デカフェはエチオピアの深煎り豆とのこと。ちょっと分析的になってしまいますが、エチオピアって通常は浅煎りから中煎りくらいにすることが多い産地だと思うのですが、深煎りとは意外でした。
一般的にデカフェ豆は物足りなさが出がちなので、深煎りにすることで満足感のある味わいを演出しているのかもしれませんね。カフェインを除去する過程で失われがちなコクやボディ感を、焙煎度で補完しているという考え方もできそうです。
せっかくなのでフードはミルクレープをオーダー。一杯ずつハンドドリップをしているので、しばし待ちます。
店内環境の配慮
店内はかなり広く開放感があります。子ども連れの方もちらほら見かけ、絵本なども置いてありました。コーヒー専門店でありながら、様々なシーンを想定した空間づくりをしているのが印象的です。

いざ実飲!期待以上の仕上がり
出来上がったコーヒーを受け取り、さっそく飲んでみます。
エチオピアの深煎り、これがまた想像以上に良い仕上がりでした。印象としてはかなり深く焙煎されており、普段飲むエチオピアのイメージとはまったく違う味わいでした。良い意味でマンデリンのような風味も垣間見える複雑さがあります。

これは深煎りの特徴でもあるのですが、焙煎が深くなると豆の個性よりも焙煎による風味が前面に出てくるため、産地特性よりも焙煎技術による味作りが重要になってきます。猿田彦珈琲の焙煎技術の高さを感じる一杯でした。
デカフェとしての完成度
デカフェ感はほぼ感じない仕上がりで、これには正直驚きました。通常のコーヒーと言われても疑わないレベルです。
個人的に深煎りのコーヒーはフードペアリング、特に甘いデザート系との相性が抜群だと思っているのですが、今回オーダーしたミルクレープとの組み合わせも最高でした。深いコクと甘さが見事にマッチします。
焙煎場見学 プロの現場を間近で
ここは焙煎場も兼ねているので、そちらもしっかりチェックしました。
焙煎機は2台設置されており、どちらもかなり大型です。機械を見てみると「GIESEN(ギーセン)」という文字が見えました。


GIESEN焙煎機について
GIESEN(ギーセン)はオランダ製の焙煎機メーカーで、世界三大焙煎機メーカーの一つとされています。特筆すべきは、コーヒー焙煎の世界大会「World Coffee Roasting Championship(WCRC)」の公式マシンでもあることです。
ギーセンの焙煎機の特徴は:
- 鉄素材への強いこだわりで蓄熱性に優れている
- 釜内の圧力をコントロールすることで多彩な味作りが可能
- 全自動焙煎機能で過去のデータを基に同じ焙煎を再現できる
- 1.5kgから140kgまでの幅広いラインナップ
調布焙煎ホールでは、ここで焙煎したコーヒー豆を全国の猿田彦珈琲店舗に供給しているとのこと。まさに猿田彦珈琲の心臓部というわけです。
ガラス張りの焙煎場が魅力
焙煎場がガラス張りになっているのも大きな魅力です。焙煎の様子を見ているだけでも楽しく、コーヒー豆がどのように変化していくのかを実際に目で確認できます。
コーヒー好きとしては、普段飲んでいるコーヒーがどのような工程を経て作られているのかを知ることで、より一層コーヒーへの理解と愛情が深まりますね。
猿田彦珈琲の魅力と調布焙煎ホールの位置づけ
今回の訪問で改めて感じたのは、猿田彦珈琲の「たった一杯で幸せになるコーヒー屋」というコンセプトが体現されている点です。
猿田彦珈琲の特徴
- ダイレクトトレードによる高品質な生豆調達
- 一杯ずつのハンドドリップによる丁寧な抽出
- スターバックス以上と評される高いホスピタリティ
- 浅煎りから深煎りまでの幅広いラインナップ
調布焙煎ホールの特別な価値
調布焙煎ホールは、2017年9月にオープンした猿田彦珈琲最大規模の店舗で、以下の点で特別な存在です:
- 全店舗の豆を焙煎する中央拠点
- 焙煎工程を見学できる透明性
- 焙煎ホールツアーなど体験型サービス
- コーヒー豆の量り売りサービス(調布店限定)
まとめ コーヒー愛好家必見のスポット
猿田彦珈琲 調布焙煎ホールは、単なるカフェを超えた体験ができる場所でした。
コーヒー好きの方には:
- プロの焙煎現場を間近で見学できる
- 高品質なデカフェをはじめ多彩なコーヒーが楽しめる
- 日本チャンピオンバリスタの技術を感じられる
コーヒー初心者の方には:
- コーヒーができるまでの過程を学べる
- 子連れでも安心の環境
- コーヒー以外のフード・デザートも充実
自家焙煎を学んでいる身としても、プロの設備と技術を間近で見ることができ、とても勉強になりました。特にGIESEN焙煎機の稼働している様子を見られたのは貴重な経験です。
アクセス情報
- 住所:東京都調布市小島町2-61-1 トリエ京王調布C館1F
- 営業時間:8:00〜21:00(平日8:00〜10:00はモーニングメニュー)
- アクセス:京王線調布駅中央口から徒歩5分
- 電話:042-444-2632

コーヒーの世界をより深く知りたい方、美味しいコーヒーを求める方、そして猿田彦珈琲の世界観を体感したい方には、ぜひ一度足を運んでいただきたいスポットです。きっと「たった一杯で幸せになる」体験ができるはずです。
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