雑誌で見つけた小川珈琲への興味
東京都内の喫茶店特集を雑誌でリサーチしていたところ、ふと小川珈琲桜新町店が目に入りました。小川珈琲といえば、スーパーでも見かける高級感のあるコーヒー豆のブランドですよね。見た目からして上質そうで、実際に何度か購入したことがあるんですが、確かおいしかった記憶があります。


改めて調べてみると、なんと京都発祥のコーヒー専門店で、1952年創業の老舗ブランドなんですね。そのフラッグシップカフェが世田谷区桜新町にあると知り、これは足を延ばしてみるしかないでしょう!
桜新町という意外な発見
桜新町駅で電車を降りたとき、構内放送で聞き慣れない、でも聞いたことのある声が流れてきたんです。「ああ、そうでした!」と後から気づいたのですが、桜新町はサザエさんのゆかりの地だったんですね。長谷川町子が住んでいた街として知られていて、今でもサザエさんの世界観が街に息づいているんです。これは思わぬ発見でした。

小川珈琲桜新町店の上質な空間
カフェは桜新町の住宅街を少し歩いたところに佇んでいるんですが、外観からもリッチなカフェという印象がうかがえますね。中に入ると、すでに多くの人で賑わっていました。どうやらこのカフェはコーヒーだけでなく、フードやスイーツが充実しているようで、それを目当てに来る方も多いんじゃないでしょうか。


少し並んだ後、いよいよ注文です。今回の私はコーヒーを目当てに来ているので、フードはまた今度の機会に。豆の種類は相当多くて、メニューページにぎっしりと書かれたコーヒー豆の種類が何ページにもわたっているんです。これは圧巻ですね。

メニュー構成は、アフリカ系(エチオピア、ケニア)、中南米系(グアテマラ、コロンビア)、アジア系(インドネシア、インド)といった産地ごとに分類されており、それぞれの農園の特徴や風味が詳しく記載されています。初見で行った私としては、どの豆をセレクトすればよいか、正直かなり悩んでしまいました。
ケニア・ガチュヤニ村のコーヒーとの出会い
今回私が選んだのは、ケニアのガチュヤニ村のコーヒーです。なぜかというと、単純にケニアの明るい酸が好みなんですよね。それに、なかなかカフェでも飲むことができない貴重な豆でもあるんです。

コーヒーの提供と一緒に、豆の情報カードをいただけるんですが、これがまた嬉しいサービスですね。その情報は以下の通りです:
- 産地: ケニア
- 地域: ニエリ
- 生産者: オタヤ農協
- 標高: 2000メートル
- 品種: SL28他
- 精選: ウオッシュド
- 焙煎度: ミディアムライト(中煎りくらい)
抽出方法は3つから選べるんです。エスプレッソ、プアオーバー(ドリップ)、エアロプレス。今回はエアロプレスを選択しました。普段の抽出とは変わった感じで飲んでみたかったんですよね。
ケニアコーヒーの特徴と味わい
ケニアコーヒーは「コーヒーの女王」とも呼ばれ、アフリカ大陸の高地で育つ特別な豆です。特に以下の特徴があります:
品種の特徴
- SL28品種はケニアの代表的な品種で、フルーティーな特徴が強いです
- 病気に強く、高地での栽培に適しています
- 複雑で洗練された風味プロファイルを持ちます
風味の特徴
- 明るく上品な酸味(ワインのような酸味)
- ベリー系の風味(カシス、ブラックベリー、レッドカラント)
- しっかりとしたコクと甘い後味
- 標高2000m級の高地栽培による凝縮された味わい
栽培環境
- 赤道直下の高地という理想的な環境
- 昼夜の寒暖差が大きく、豆の密度が高いです
- 火山性土壌によるミネラル豊富な風味
提供は厚手のカップで、とても上品な印象でした。実際に飲んでみると、ケニアの明るい酸がしっかりと味わえました。明るい酸を別の言い方をすると、赤ワイン感、カシスのような風味が口いっぱいに広がります。後味も甘味がしっかりと残っていて、まさにケニアコーヒーの真骨頂を堪能できました。
ちなみに、今回持ち帰り用として、エチオピアカフェインレスモカを購入しました。これは別途レビューしていきたいと思います。

京都を感じる空間デザイン
上質なコーヒーを落ち着いた店内でいただくのは良い時間です。おしゃれなカフェ(ジャズがかかっているような)とはまた雰囲気が異なります。どこか京都を連想するような、和の落ち着きと伝統的な佇まい、品格のある静謐さが漂っています。

カフェの中央には白を基調とした蔵のようなものがあり、これはコーヒー豆を保管しているところらしいです。京都の町家や蔵を思わせる設計で、こういう細部からも京都感が演出されているのかもしれません。
また、キッチンがテーブルから見えるという店づくりも少し驚きでした。コーヒーの抽出過程を見ることができ、職人の技術を間近で感じられます。こういう店づくりもなかなかないでしょう。

サザエさんの聖地巡礼
小川珈琲を堪能した後、せっかくなので長谷川町子美術館へ行くことにしました。小川珈琲から駅を通り越して少々歩いたところに美術館があります。そこに至るまでに、サザエさんロードと呼ばれる道も歩きました。結構いたるところに、サザエさん一家の銅像やペイントがあることに気づきます。


美術館では、サザエさんの世界観をしっかり堪能することができました。サザエさんの原作漫画の展示はもちろん、長谷川町子の他作品(いじわるばあさんなど)、昭和の家庭文化を描いた作品群、当時の生活様式がわかる資料などが展示されています。特に印象的だったのは、昭和の家庭の暮らしぶりを描いた原画の数々で、当時の人々の日常生活の温かさが伝わってきました。



桜新町とコーヒー文化への考察
締めに、桜新町の雰囲気、街並みとコーヒー文化について考えてみたいと思います。サザエさんという庶民的なキャラクターが愛される桜新町は、どこか下町感があり、時間の流れも少し穏やかです。そんな雰囲気が、じっくりとコーヒーを味わう文化と見事に調和しています。
なぜ小川珈琲をはじめとする上質なコーヒー店が桜新町(世田谷エリア)に出店しているのでしょうか。それは以下の理由が考えられます:
立地としての魅力
- 住宅街でありながら文化的な土壌があります
- サザエさんという文化的背景による知名度と親しみやすさ
- 世田谷区の上質な住環境を求める層のライフスタイル
- ゆったりとした時間が流れる街の雰囲気がコーヒー文化と親和性が高い
ターゲット層との親和性
- 質の高いライフスタイルを求める住民
- 文化的な体験を重視する来訪者
- 日常に特別な時間を求める人々
桜新町は、慌ただしい東京の中にあって、時間がゆっくりと流れる貴重な場所です。そんな環境だからこそ、小川珈琲のような上質なコーヒー体験が映えるのでしょう。一杯のコーヒーを通して、その土地の文化や人々の暮らしを感じることができます。これこそが、コーヒーの持つ本当の魅力なのかもしれません。
おわりに
桜新町での一日は、コーヒーとサザエさんという意外な組み合わせが生んだ、特別な体験となりました。小川珈琲のケニアコーヒーの味わいは今でも記憶に残っていますし、サザエさんの世界観に触れることで、昭和の家庭文化への理解も深まりました。
東京にはまだまだ発見すべきコーヒーの名店があるはずです。次はどの街で、どんなコーヒーと出会えるでしょうか。楽しみは尽きません。
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