コーヒー好きなら一度は耳にしたことがある「ブルーボトルコーヒー」。日本のコーヒーシーンを大きく変えたと言われる清澄白河の1号店は、2015年のオープン以来、多くのコーヒー愛好家の憧れの場所となっています。
でも実際のところ、「何がそんなに特別なの?」「普通のコーヒーと何が違うの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。コーヒーの魅力を日々探求している私自身も、ついに念願の初訪問を果たすことができました。実際に体験して分かったその理由と魅力を詳しくお伝えします。

思っていたより親しみやすい店内の雰囲気
清澄白河駅から徒歩10分ほどの場所に構える同店は、確かに「コーヒーの聖地」と呼ぶにふさわしい佇まいです。外観は倉庫を改装したような無骨なデザインで、ブルーボトルらしいミニマルな美学が表現されています。
「なんだかオシャレすぎて入りにくそう…」そんな先入観を持って扉を開けてみると、意外にも温かみのある空間でした。店内は想像以上にコンパクトで、席数はそれほど多くありません。平日の午後でしたが、ほぼ満席状態。やはり人気店なんだなと実感します。
注文システムは意外にも昔ながらのスタイル。出来上がり次第、名前で呼び出されます。かつてのスターバックスを彷彿とさせるこの方式に、どこか懐かしさを感じました。コーヒーを待つ間も、バリスタさんが丁寧に一杯ずつ淹れる様子を眺めているだけで楽しい時間になります。


634円のコールドブリューは高いのか?
暑い日だったこともあり、すっきりと冷たいコーヒーが飲みたい気分でした。メニューを眺めていると、634円のコールドブリューが目に留まります。
正直言って、最初は「高い」と思いました。コンビニのアイスコーヒーなら100円ちょっとで買えるのに、なぜ6倍以上の値段なのか。でも、「せっかく来たんだから」という気持ちで注文してみることに。
一口で納得した理由
届いたコールドブリューは、期待を上回る味わいでした。一口飲むと、青リンゴのようなフルーティーな香りが鼻に抜け、続いてすっきりとした酸味が口の中に広がります。でもこの酸味は決して刺激的ではなく、むしろ爽やかで上品な印象です。
さらに驚いたのは、ほのかに感じられる自然な甘味です。砂糖やシロップを一切加えていないにも関わらず、コーヒー豆本来の甘味が丁寧に抽出されています。「ああ、これが634円の理由なんだ」と心から納得しました。

コールドブリューって普通のアイスコーヒーと何が違うの?
実は私も最初は違いがよく分からませんでした。でも飲み比べてみると、その差は歴然です。
コールドブリュー(Cold Brew)は、その名の通り冷水でゆっくりと時間をかけて抽出するコーヒーのこと。一般的なアイスコーヒーがホットコーヒーを冷やしたものであるのに対し、コールドブリューは最初から冷水で抽出します。
コールドブリューの特徴
抽出時間の長さ 12~24時間という長時間をかけてじっくりと抽出します。この時間が、コーヒー豆の持つ繊細な風味を最大限に引き出すカギとなっています。
まろやかな味わい 熱水抽出と比べて苦味成分やタンニンの抽出が抑えられるため、非常にまろやかで飲みやすい味わいになります。
豆の個性が際立つ 雑味が少ないため、コーヒー豆本来の特性や産地の個性がより鮮明に感じられます。
サードウェーブコーヒーって結局何なの?
ブルーボトルコーヒーは、「サードウェーブコーヒー」の代表的なブランドとして知られています。横文字が続いて難しそうですが、簡単に言うと「コーヒーをワインのように楽しむ文化」のことです。
サードウェーブの特徴
豆への徹底したこだわり 単一農園で栽培された豆(シングルオリジン)を使用し、生産者の顔が見える関係性を重視しています。
抽出技術の追求 バリスタが一杯一杯丁寧に抽出し、コーヒー豆のポテンシャルを最大限に引き出します。
体験としてのコーヒー 単なる飲み物ではなく、五感で楽しむ体験として提供されます。
なぜ清澄白河だったのか
ブルーボトルが日本初出店の地として清澄白河を選んだのには理由があります。この街は古くから木材問屋や倉庫が立ち並び、職人気質な街として知られていました。また、現代アートの発信地としても注目を集め、新旧が混在する独特な雰囲気を持っています。
こうした環境は、ブルーボトルが大切にする「職人的なコーヒー作り」や「アートとしてのコーヒー」という価値観と見事に合致しています。
自宅でもコールドブリューを楽しめる?
ブルーボトルの味わいに感動した方は、自宅でもコールドブリューに挑戦してみてはいかがでしょうか。
必要な道具
- コーヒー豆(中細挽き)100g
- 冷水 1000ml
- フレンチプレスまたは専用器具
- 細かいメッシュのフィルター
作り方
- 挽いたコーヒー豆と冷水を1対10の割合で混ぜ合わせる
- 12~24時間冷蔵庫で抽出
- フィルターで濾して完成
まとめ ~634円の価値はあったのか~
ブルーボトルコーヒー清澄白河店でのコールドブリュー体験は、まさに「コーヒーの新たな可能性」を感じさせてくれるものでした。634円という価格は確かに高めですが、その価値は十分にあると確信しています。
コーヒーを単なるカフェイン摂取の手段としてではなく、農作物としての魅力や職人の技術、そして五感で楽しむ体験として捉える。これこそが、サードウェーブコーヒーが私たちに教えてくれる新しいコーヒーの楽しみ方なのかもしれません。
「コーヒーにそんなにお金をかけるなんて…」と思っていた私でしたが、たまの贅沢として、この特別な一杯を味わう時間も悪くないなと感じました。
清澄白河を訪れる機会があれば、ぜひブルーボトルコーヒーに足を運んでみてください。きっと、コーヒーに対する見方が変わるはずです。
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