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とつきコーヒーです。コーヒーインストラクター2級の資格を持ち、自家焙煎にも取り組んでいます。普段はサラリーマンとして働きながら、コーヒーの魅力を発信しています。普通のコーヒーは今日の活力、デカフェコーヒーは明日の活力という考えのもと、様々なコーヒーの楽しみ方を探求中です。

はじめに
京都のコーヒー巡りも終盤。今回訪れたのは、二条城前駅近くにあるABOUT US COFFEE 二条城店です。
前回のWEEKENDERS COFFEEから徒歩約20分、1.5kmほどの距離。二条城前駅からなら徒歩6分というアクセスの良さも魅力です。事前にネットで調べていると、評判がとても高いお店でした。YouTubeでは外国人の方からも高い評価を受けているようで、期待が高まります。
実は後から知ったのですが、このお店は伏見稲荷にある1号店に続く2号店。スペシャルティコーヒーを売りにしているコーヒー店で、2025年6月にオープンしたばかりの新しいお店なんですね。オーナーは2022年のロースティングコンペティションで優勝した実力者。これは期待できそうです。
住宅街に溶け込む、築90年の町家カフェ
お店は、京都らしい住宅街の中にありました。築90年の町家をリノベーションした建物で、外から見ると一見コーヒー店とはわからないような佇まいです。

2階建ての建物が住宅街に自然と溶け込んでいて、事前に調べていなければ気づかなかったかもしれません。
引き戸の前に立つと、やや緊張してしまいました。というのも、タイミングの問題だとは思うのですが、私がどうやら最初のお客さんのようだったんです。店内の様子も外からは少しわかりづらく、本当に営業しているのか不安になってしまって。
でも、勇気を出して引き戸を開けると、店員さんが笑顔で迎えてくれました。念のため「やっていますか?」と聞くと、当然ながら「やっていますよ」という返答。ほっとしました。
9種類のコーヒーから選ぶ贅沢
店内に入ると、開放的な広さですっきりとした印象を受けます。レジに向かうと、本日のラインナップを紹介していただきました。
この日は、ブレンドからシングルオリジンまで、なんと9種類からセレクトできるとのこと。ラインナップのカードには様々な情報が載っていて、どれにしようか悩んでしまいます。

「普段とは少し違った、珍しいコーヒーが飲みたいです。浅煎りも大丈夫ですよ」と、ざっくりとした希望だけ伝えて、店員さんのアドバイスを聞くことにしました。
すると、「これなんて、良いんじゃないですか?」とおすすめしてくれたのが、ペルーのゲイシャです。
1,600円のペルーゲイシャという選択
ホットで1,600円。1杯のコーヒーの値段としては強気に感じる方もいるかもしれません。でも、これはゲイシャ種です。
ゲイシャ種というのは、コーヒーの品種の中でも特に希少で高品質なものなんですね。元々はエチオピア原産で、その後パナマで栽培されて世界的に有名になりました。ジャスミンや柑橘系のような華やかな香り、紅茶のような繊細な口当たりが特徴で、「コーヒー界のシャンパン」とも呼ばれています。
栽培が難しく収穫量も少ないため、豆の価格も通常のコーヒーの数倍から数十倍になることも珍しくありません。そう考えると、1,600円で1杯のゲイシャが飲めるというのは、決して高いとは思いません。むしろリーズナブルではないでしょうか。
たまにしか飲むことができないゲイシャ種。これは楽しまなければ、と注文を決めました。
2階の落ち着いた空間で待つ
コーヒーの出来上がりを待つ間、2階の雰囲気を見てみたくなって、階段を上がることにしました。
ただ、上がってから少し後悔したんです。「コーヒーの抽出を見てみたかったな」と。でも、2階の空間は素晴らしいものでした。

天井が高く、開放的。床は小さなタイル状に敷き詰められていて、古風で和の雰囲気がおしゃれな空間です。むき出しになった木の梁が、この建物の歴史を物語っています。壁には土壁のような質感が残り、現代的なセンスと絶妙にミックスされています。
窓から差し込む自然光が、空間全体を優しく照らしていました。
しばし待っていると、コーヒーが到着しました。結局のところ、私が行ったタイミングは貸し切り状態だったので、よりゆっくりコーヒーを楽しむことができるな、なんてことが頭をよぎりました。
その前に行ったWEEKENDERS COFFEEでは会話しながらのコーヒーでしたが、こういうコーヒーに集中しながらゆっくり楽しむスタイルもまた良いものです。どちらが良いという比較ではなく、どちらも素敵な時間の過ごし方ですね。
ビーカーで楽しむコーヒーの色
長方形のお盆の上に、商品カード、湯呑のようなカップ、そしてコーヒーの入ったビーカー型のガラスが到着しました。

自分で注ぐスタイルも良いのですが、なんといってもガラスに注がれたコーヒーを視覚的に楽しむことができるのが嬉しいですね。
コーヒーって、もちろん焙煎度合いにもよりますが、意外とワインや紅茶のような色をしているんです。一般的に「ブラックコーヒー」と聞くと、黒い液体を想像するかもしれません。でも、実際にガラス越しに見るコーヒーは、琥珀色や赤みがかった美しい色をしています。
そんなコーヒーの色を見るのも、コーヒーの楽しみ方の一つだな、なんてことを思いながら、まずは香りをかいでみました。
紅茶のような華やかな香り
やっぱり香り高い。まるで紅茶のような、花やかな香りです。
「紅茶のような」と言ってしまうと、「じゃあ紅茶飲めば?」というようなことにもなってしまうかもしれません。でも、そうとも言い切れないんです。コーヒーには、コーヒーならではの複雑さがあります。
これは産地、焙煎度、シングルかブレンドかなどによって、いろんな顔を見せてくれます。まるでキャンバスにいろんな色を使って味を表現しているような印象です。
言い方は難しいのですが、コーヒーっていろんな味があって楽しいよね、ということが伝わればいいなと思います。
和の空間とコーヒーの調和
香りを楽しんだ後は、いよいよ飲んでみます。湯呑にコーヒーを注ぎました。

その時に「あれ、このカップはお茶の茶道のような印象を受けるな」と思いました。茶道の湯呑とはもちろん違うのですが、形は似ているでしょう。
そういえば、と後からその印象が追ってくるのですが、ここってもしかしたらお茶屋さんと言われても納得するな、と。和の印象がしっかりコーヒーとマッチしているんです。
上品なゲイシャの味わい
口に含むと、酸味のおいしいコーヒーです。
窓からの自然光が差し込む中で楽しむコーヒータイム。2階の静かな空間で、ゆっくりとゲイシャの味わいに浸ります。この贅沢な時間こそが、京都のコーヒー巡りの醍醐味ですね。
酸味といっても、いわゆる唾液が出てくるような酸っぱさではありません。ジャスミンとか、蜜とか、そういうふわっとしたフレーバーが鼻に抜けていくような、上品さを感じるコーヒーです。
私なりのコーヒーの楽しみ方で、口あたり、中盤、後味という3段階に分けて味わうのですが、最初から最後まで華やかな感じが続きます。もちろん雑味もないし、すっきりしています。
とても飲んでいて楽しい。じっくりコーヒーを楽しもうと思っていたところ、お客さんが2階に上がってきました。
取材の方との遭遇と1階への移動
その方は、実は雑誌の取材の方でした。「映らないように撮影しますので」と言っていただいたのですが、なんか変に気を遣わせてはよくないなと思ったので、私は1階に降りることにしました。
というのも、実は1階には焙煎機や抽出風景も見られるなと思っていたので、ちょうど良いタイミングだと思ったんです。
1階で見る焙煎と抽出の世界
1階に移り、引き続きコーヒーを楽しみます。

1階には焙煎室がガラス張りになっていて、ギーセン(GIESEN)の焙煎機を拝むことができます。

きれいに整頓されたドリッパーも見ることができます。運よく、お客さんも来ていたようで、抽出の様子も見ることができました。

とてもスムーズな手際で、コーヒーを丁寧に淹れる様子も見ていて心地よいです。
こだわりのドリッパー、CT62
ドリッパーはこだわっているのでしょう。あまり普段は見かけないようなものを使っています。
後で調べてみると、CT62 Coffee Dripperというものを使っているようです。台湾のTaster’s Coffeeとデザイナーが共同開発した、かなり凝ったドリッパーでした。
CT62は、中国の唐の時代の鎧からインスピレーションを受けたデザインで、62度という独特の角度が特徴です。内部には12本の長い溝と12本の短い溝があり、水位が高い時は流速が速く、低い時は遅くなるという、流速を自動的に調整する設計になっています。
この設計により、過抽出を防ぎ、苦味や渋みを抑えながら、コーヒーのアロマとフレーバーを保つことができるそうです。2023年にはドイツデザイン賞を受賞し、中国と韓国のブリュワーズカップで優勝したバリスタも使用していたとのこと。
ネットで調べてみると、価格は15,000円くらいするようです。それだけ抽出に違いが出るのかな、と思いつつ、飲んだゲイシャもおいしかったからな。やっぱりそれだけの味を作るために、いろいろこだわっているんだろうな、と感じました。
専門性の高さを物語る資格と実績
店内をよく見ると、カウンターには「Q Arabica Grader」という資格の証明書が飾られていました。これは、コーヒー豆の品質を評価する国際的な資格です。

スペシャルティコーヒーを扱うお店として、しっかりとした専門知識を持った方が運営していることがわかります。オーナーの澤野井康成さんは、2022年のロースティングコンペティション「COFFEE COLLECTION WORLD DISCOVER」で優勝した実力者。元々はアパレル業界から転身したという異色の経歴を持つ方だそうです。
豆の販売や若干の物販もされているようでした。了承をいただいて、店内を少し撮らせていただきました。



京都のコーヒー文化を体感できる場所
ABOUT US COFFEE 二条城店を訪れて感じたのは、ただコーヒーを提供するだけでなく、「コーヒー体験」を大切にしているということです。
築90年の町家という歴史ある空間で、最新のコーヒー文化を楽しめる。和の雰囲気の中で、ペルーのゲイシャという希少なコーヒーを味わう。一見ミスマッチに思えるかもしれませんが、実際に体験すると驚くほど調和しているんです。
京都という土地が持つ、新しいものと古いものを自然に融合させる力。それがこのお店にも表れているように感じました。
まとめ、1,600円の価値を考える
そんなこんなで、コーヒーも飲み終わり、お店を出ました。
1,600円のペルーゲイシャ。確かに高いと感じる方もいるかもしれません。でも、この価格には理由があります。希少なゲイシャ種の豆、専門知識を持ったスタッフによる丁寧な抽出、15,000円するこだわりのドリッパー、そして築90年の町家という空間。
これらすべてを含めて考えると、むしろコストパフォーマンスは高いと言えるのではないでしょうか。
おいしいペルーゲイシャを飲んだ、というだけでなく、和の空間でゆっくりとコーヒーに向き合う時間を過ごせた、という貴重な体験でした。
特に印象的だったのは、和の空間とコーヒーの見事な調和です。湯呑のような器でコーヒーを飲む体験は、まるでお茶を楽しむような静謐な時間。でもそこには、スペシャルティコーヒーならではの華やかなフレーバーが広がります。
京都という土地柄、町家カフェは珍しくありません。でも、ここまで空間デザインと味の両方にこだわったお店は、そう多くないでしょう。1階の焙煎室から立ち上る香り、2階の落ち着いた空間、そしてプロフェッショナルな抽出技術。すべてが調和して、特別な時間を作り出していました。
次回また京都を訪れる機会があれば、今度は伏見稲荷の1号店にも足を運んでみたいですね。そして、季節が変われば、また違った豆のラインナップに出会えるはず。リピートしたくなる、そんなお店でした。
そうそう、次回は最初から1階で待って、抽出の様子を最初から最後まで見てみたいです。そんなことを思いながら、二条城前駅へと向かいました。
店舗情報
店名:ABOUT US COFFEE 二条城店 住所:京都府京都市中京区姉猪熊町325-2 電話:075-384-1890 営業時間:9:00〜18:00 定休日:火曜日 アクセス:地下鉄東西線「二条城前駅」1番出口から徒歩6分 Instagram:https://www.instagram.com/about_us_coffee/
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