こんにちは、とつきコーヒーです。
前回はキーコーヒーの決算情報から業界のトレンドを読み解きましたが、今回は実際の商品に触れてみたいと思います。
前回記事はこちら
https://totsuki-coffee.com/keycoffee-q1-2026-financial-results-analysis/
SCAJ2025(スペシャルティコーヒー協会展示会)のキーコーヒーブースで出会った新商品「ジェットブリュー(JET BREW)」。展示会場では試飲もさせていただき、さらに試供品もいただいたので、改めて自宅でじっくり試してみました。

SCAJ2025のキーコーヒーブース
展示会に足を運んで驚いたのは、キーコーヒーのブースが「ジェットブリュー一色」だったことです。
大きなディスプレイ、試飲コーナー、商品説明のパネル。すべてがこの新商品を中心に展開されていました。これは相当力を入れている商品なのだな、と感じましたね。

展示会では10秒抽出という方法で試飲させていただきました。人が並んでいて流れるように案内されたこともあり、正直その時は「ちょっとアメリカンかな」という程度の印象でした。
ただ、レギュラーコーヒーとしての品質は確かに感じられたので、「もう少しじっくり試してみたいな」と思っていたところ、ありがたいことに試供品をいただけました。
ジェットブリューとは何か
まず商品の特徴を整理してみましょう。
ジェットブリューは、一言で言えば「浸漬式のドリップバッグ」です。

通常のドリップバッグは、何度かお湯を注ぎながら透過式で抽出しますよね。でもジェットブリューは、お湯にドボンと浸けて短時間で抽出する方式です。
公式では最短10秒、しっかり目は30秒での抽出とされています。
特許取得の取手デザイン
パッケージを見ると、取手の部分が独特の形をしています。展示会で伺ったところ、この取手部分は特許を取得しているとのことでした。
カップの縁にフックで引っ掛けられる構造になっていて、浸漬している間も手で持ち続ける必要がありません。ちょうど紅茶のティーバッグのような感覚ですね。
細かい部分ですが、使い勝手を考えた工夫が感じられます。
どんな人に向けた商品なのか
さて、この商品、誰に向けて開発されたのでしょうか。
マーケティングの専門家ではないので推測になりますが、こんなシーンが想定されているのではないかと思います。
- 忙しい朝の出勤前、少しでも時短したい
- オフィスでの短い休憩時間、3分も待てない
- レギュラーコーヒーの風味は欲しいけれど、ドリップの手間は避けたい
- インスタントよりは本格的なものを飲みたい
つまり「時間がない、でも美味しいコーヒーが飲みたい」という現代人のニーズに応えようとしているのでしょうね。
実際に淹れてみた
では早速、試してみましょう。
商品スペック
まず基本情報を確認します。
- 豆の産地:ブラジル、コロンビアのブレンド
- 粉の重量:6.5g
- お湯の量:160ml
- 抽出時間:推奨30秒
粉の量については、一般的なドリップバッグが7〜10g程度であることを考えると、やや少なめの設定ですね。ただ、浸漬式という抽出方法の違いもあるのかもしれません。
お湯の量は160mlで、出来上がりは約140mlでした。つまり粉とお湯の比率は約1対22。これはかなりゆったりとした比率です。
抽出の様子
パッケージを開けると、しっかりとしたコーヒーの香りが立ち上がります。

カップにドリップバッグをセットして、お湯を注ぎます。160mlのお湯を注ぎ終わったら、取手をカップの縁に引っ掛けて、軽く揺らしながら30秒待ちます。

この「揺らす」という動作が、通常のドリップバッグとの違いですね。お湯を注ぐ回数は減りますが、その分しっかり揺らして抽出を促す必要があります。
30秒経過。ドリップバッグを引き上げて、完成です。
味わいの感想
出来上がったコーヒーを飲んでみます。


まず感じるのは、しっかりとしたレギュラーコーヒーの風味です。インスタントコーヒーとは明らかに違う、豆から淹れたコーヒーの香りと味わいがあります。
ブラジルとコロンビアのブレンドということで、苦味と酸味のバランスが良く、中庸的な味わい。いわゆる「万人受けするコーヒー」のテイストですね。クセが少なく、誰が飲んでも「美味しいコーヒー」と感じられる味づくりだと思います。
ただ、全体的な印象としては、やや軽めのコーヒーという感じでしょうか。アメリカンコーヒーがお好きな方には、ちょうど良い濃さかもしれません。
濃いめがお好みの方は、お湯の量を少し減らして調整するのも一つの方法かなと思います。例えば140mlくらいで試してみると、また違った印象になるかもしれませんね。
10秒と30秒の違い
展示会では10秒で試飲しましたが、今回自宅では30秒でじっくり抽出してみました。
正直なところ、10秒と30秒で劇的な違いは感じませんでした。浸漬式の特徴として、ある程度の時間で抽出が安定するのかもしれません。
ただ、30秒の方が安心感はありますね。「しっかり抽出できたな」という感覚が持てます。
コーヒーの選択肢としてのジェットブリュー
ジェットブリューを飲んで考えたのは、「コーヒーの選択肢の中で、この商品はどこに位置するのか」ということです。
以前、スーパーのコーヒー売り場を観察して、コーヒーの多様性について考えたことがあります。インスタント、ドリップバッグ、粉、豆。それぞれに手軽さと味わいのバランスがあって、どれが優れているというわけではない。シーンによって使い分けるのが、現代のコーヒーの楽しみ方だと思っています。
ジェットブリューを加えて、改めて整理してみましょう。
- インスタントコーヒー:数秒で完成、風味は控えめ、手軽さ最優先
- ジェットブリュー:30秒で完成、レギュラーコーヒーの風味、手軽さと品質の中間
- 通常のドリップバッグ:約3分、しっかりした味わい、ある程度の手間
- 粉や豆から:5分以上、自分好みに調整可能、淹れる楽しみ
こうして見ると、ジェットブリューは「インスタントとドリップバッグの間」に位置する商品だと言えそうです。
インスタントでは物足りないけれど、ドリップバッグの3分も待てない。そんな時の選択肢として、確かに価値があるのではないでしょうか。
コーヒー業界のトレンドから見る
前回の記事で触れたように、キーコーヒーは今、原材料高騰という厳しい環境の中でも、新商品開発に力を入れています。
ジェットブリューは、まさにその「攻めの姿勢」を体現した商品だと感じました。
コーヒー生豆の価格が歴史的な高値で推移する中、新しい抽出方式を開発し、特許を取得し、SCAJ2025では大々的にプロモーションを展開する。簡単なことではないはずです。
「時短」というニーズに応えながら、レギュラーコーヒーとしての品質を確保する。企業の技術力と商品開発力が問われる挑戦ですね。
正直な感想と期待
ここまで読んでいただいてお分かりのように、ジェットブリューは「万能の完璧なコーヒー」ではありません。
濃さの好みは分かれるでしょうし、「30秒も待つなら普通のドリップバッグでいいかな」と思う方もいるかもしれません。「インスタントで十分」という方もいるでしょう。
でも、それでいいのだと思います。
大切なのは、選択肢があることです。
忙しい朝、ジェットブリューがあれば30秒でレギュラーコーヒーが飲める。休日の午後、時間があればハンドドリップでじっくり淹れる。夜寝る前にはデカフェでほっと一息つく。
そんな風に、シーンに合わせてコーヒーを選べる。それが現代のコーヒーライフの豊かさではないでしょうか。
ジェットブリューは、その選択肢の一つとして、確かな価値を持っていると思います。
こんな人におすすめ
最後に、ジェットブリューをおすすめしたい方をまとめてみます。
- 朝の忙しい時間、少しでも時短したい方
- オフィスでの短い休憩時間を有効に使いたい方
- インスタントでは物足りないけれど、ドリップの手間は省きたい方
- アメリカン寄りの軽めのコーヒーがお好きな方
- 新しいコーヒー体験に興味がある方
逆に、濃いめのコーヒーがお好きな方、じっくり淹れる時間を楽しみたい方には、他の選択肢の方が向いているかもしれません。
まとめ
SCAJ2025で出会ったキーコーヒーの新商品「ジェットブリュー」。
30秒で完成する浸漬式ドリップバッグという新しい発想は、忙しい現代人に向けた一つの答えだと感じました。
味わいはやや軽めの印象ですが、レギュラーコーヒーとしての品質は確保されており、時短という価値と引き換えなら十分に納得できるレベルです。
前回の決算分析記事でも触れましたが、コーヒー業界は今、変革期にあります。原材料高騰、多様化するニーズ、サステナビリティへの対応。様々な課題がある中で、企業が新しい挑戦を続けているのは、業界の健全さを示しているのだと思います。
私たちコーヒー好きにできることは、こうした新しい試みを実際に試してみて、自分なりの楽しみ方を見つけていくことではないでしょうか。
ジェットブリューが、あなたのコーヒーライフの選択肢の一つになれば嬉しいですね。
それでは、今日も良いコーヒータイムを。
商品情報
- キーコーヒー「JET BREW(ジェットブリュー)」
- 公式サイト:https://www.keycoffee.co.jp/keydoors/jetbrew/
前回記事
- 「キーコーヒー2026年第1四半期決算から読み解く、コーヒー業界の今」
https://totsuki-coffee.com/keycoffee-q1-2026-financial-results-analysis/
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